行ったことのないフロリダ

いなくなってしまった人や、誰なのかわからない人のこと

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行旅死亡人
自称 住所函館市堀川町、佐々木梅太郎、四十二才、父佐々木梅五郎生存する如し。着衣 紺色の破れオーバー、カーキー色夏物乘馬破れズボン、下霜降色腕カバー片方、藍色の目の粗い毛織乘馬ズホン、バンドの代用と思われるシートの縁りにモツコ褌を結びたるもの外別に所持金品はない。
 右の者は昭和二十四年十二月二十九日頃北海道太櫓郡太櫓村大字太櫓村字二俣部落の雪中に倒れあるを部落民が発見し保護を加へたるも三十日函館市に返すべく準備中理髪店に行つた儘行衛が判らず昭和二十五年四月三日同村大字櫓村字栄石水田中より融雪と共に屍体となつて発見せられたり。死体を検視するに去る昭和二十四年十二月二十九日字二俣に於て保護せるものと同一人であることが判明せるものである。死体は太櫓村字若松共同墓地に仮埋葬しあるにつき心当りの者は申出られたい。
 昭和二十五年四月十四日
 北海道太櫓郡太櫓村役場

 

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