247残金

行旅死亡人
住所氏名不詳年令二十四五年位（自称宿帳記載東京都新宿区下落合町一の四山口忠二十四年）男身長一六一糎位胸囲七八・五糎位やせ型色浅黒く面長角顔頬がこけている眉太く濃い鼻高く頭髪短かくのばしており油気がない、友腕外側静脈に幅五粍長さ五糎に亘り注射痕あり。所持品青色ビニール製ボストンバッグ新グレラン十錠入空罐オーシヤンポケツトウイスキー空瓶三共ミネビタール瓶七錠入プルドン空罐ヤナギヤチツク紙セツケン入サツク人造皮製シヤープ万年筆トンボハーモニカケース入鉄道時刻表鉄道地図上信越高原地図上越の温泉地図長野県地図山谷高原の本ワニ皮模様ケース入洗面用具櫛煙草みどりチリ紙黒サージズボン青地アロハシヤツ茶縦縞ワイシヤツポロシヤツ白タオル地白木綿ランニングシヤツ谷川岳南嶺水上山荘と染めぬきの白タオル白木綿ズボン下赤木綿パンツ各一模様入ハンカチ二白色錠剤四現金八一一五円内宿泊代五三五〇円とハイヤー代二六〇〇円支払残金一六五円也
　右者昭和三十三年八月二十六日午前十時十分頃群馬県吾妻郡六合村大字入山一五三九番地新花敷温泉関晴館において睡眠薬自殺。死体は同村大字入山字山岸二〇二一番地共同墓地に仮埋葬し遺留金品は役場に保管。心当りの者は申出られたい。
　昭和三十三年八月二十七日
群馬県吾妻郡
六合村長　山本　弟蔵